BACK STREET CRAWLER |
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1.
Tuesday Morning 2. I'm Ready 3. Time Away 4. Molten Gold 5. Back Street Crawler |
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1973年発表の初ソロアルバム。収録曲は僅か5曲。散々な状況だった「HEARTBREAKER」ツアーの後、コゾフはFREEを離脱しました。コゾフは心身共に消耗しきっていましたが、とにかくなにかをプレイしようとしていたのです。体調のましな時を見計らってセッション・ミュージシャンとスタジオをブッキング、やっとの思いで残した作品です。アルバムジャケットで白いストラトキャスターを下げていますが、このアルバムでのプレイはおそらく全てストラトキャスターでされているように思われます。このアルバムの目玉は、なんといってもレコードのA面全てを使った大作「Tuesday
Morning」でしょう。後期のFREEでは曲想に合ったストイックなプレイを求められていましたが、ここではあらゆる束縛を断ち切るかのように、また、なにかから逃れるように弾きまくり、17分余り、コゾフのあらゆるプレイが聴けます。大きくはテーマリフと3つの構成に分かれている一発ジャム演奏ですが、心身共にボロボロであろうコゾフのどこからこれほどのイマジネイション溢れるプレイが湧き出てくるのか・・・全く驚きです。FREE全盛期、如何にバンドの音楽性を重視したプレイをしていたのか、自己を押し殺していたのだろうか・・・などと考えると少々ツラくなるほどですが、明らかにデビュー当時のブルーズ一辺倒のプレイより表現力に溢れ、決してFREEでのプレイ面における制約が無駄にはなっていなかったと思われます。また、発売当時に美談として「コゾフの再起を祝い、FREEのオリジナルメンバーと友人達が集まって録音した。」と語られた「Molten
Gold」ですが、これは誤りです。この曲は本来「FREE AT LAST」セッションの際、「Burnin'」という仮題で録った曲(作詞/曲・コゾフ)のベーシックトラックに、Rabbitの鍵盤とJess
Rodenのバックボーカル、コゾフのオブリガート&ソロをオーバーダビングしたもの。あまり曲を書かないコゾフにしては珍しく、FREE時代に一人で全て手がけた曲ですが、実に味わい深い作品になっています。ラストのタイトルトラック「Back
Street Crawler」もA面「Tuesday Morning」と同様インストナンバーですが、彼の死後に詞の断片が発見され、歌入りの曲としても考慮していたことが判明しています。この曲と「I'm
Ready」では当時傾向として流行る兆しを見せていた、16ビートとジャジーなコード展開を絡ませたファンキーミュージックやフュージョン的要素を取り入れようとしていたことが伺えます。曲の共作者
あるJean Russelからのインプットが大きかったのではないでしょうか。こういう傾向は、自身のリーダ バンドであるBACK STREET CRAWLERにおいても顕著でした。「Back
street crawler、もう俺につきまとうのは止めてくれ」という詞の断片からは、裏通りで蠢く者達、恐らく、彼の財力を目当てにつきまとう麻薬の売人などの魔手から逃れようとする思いが読み取れます。コゾフの最高の名演と挙げるファンも多い「Time
Away」、この曲の全貌は1999年に発表されたボックスセット「Songs Of Yesterday」によって明らかにされました。元々「Time
Spent」というタイトルで、同じレーベルメイトであり何度もコゾフ自身がゲストでライブにも出演しているシンガーJohn Martynとの共作・共演のジャムセッションです。これもボックスセット「Songs
Of Yesterday」で全貌が明らかになりました。ストラトキャスターをレスリースピーカーに繋いでプレイし、大きなうねりと柔らかなオーバードラ イブトーンで切々と訴えかけるように奏でられるプレイは、晩年のコゾフが狙っていたアプローチを最も良く表している名演と言っていいと思います。 |
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