シ、シブイねいっ!  − by Kinoshita −

よく「FREEが一番好きなんですよ。」という話をすると、決まって返ってくるのが「FREE?おぉ、そりゃ渋いねぇ!」というお言葉。よく解ります。「HIGHWAY」なんてアルバムを聴くと、とても20歳前後のあんちゃん達が作ったアルバムとは思えない枯淡の趣を感じるのも確かだし、その前作「FIRE AND WATER」でも「その眼に映る物事が、決していつも不変である訳はない。」などと、殆ど鴨長明の「方丈記」のような無常観を歌っていることからも、「渋い」という把握は彼らの一面を捉えた言葉として良いでしょう。スタジオ盤を聴くとアコースティック楽器も多く、隙間の多いサウンドですしね。しかぁ〜し!FREEは決して「渋い」だけで語り尽くせるバンドではありません。スタジオ盤だけで「静かで地味で渋いバンド」だけだと思っていたら、そりゃとんでもない誤解です。

まだTOSを立ち上げる以前、TANGERINEというもう一つのバンドでKossの追悼ライブをやった時、怒り狂ったお客さんが「FREEの名前を語って客寄せしといて安ヘビメタ聴かされた。ビールの缶をぶつけて帰りたかった。」と激怒メールを貰ったことがありました。(ここ、爆笑するトコですよ。
90年代初頭のインタヴューで、アンディ・フレイザーが「ある意味FREEは現在のヘヴィメタルの先駆け的な面があったと言えるね。」と語っていた事があります。
今回発表されたリマスターの「FREE LIVE !」を聴いても解りますが、あのライブサウンドは・・・「轟音」でしょう。これが巷で流布しているブートレッグ盤を聴くと明らかです。元々が「マーシャルの壁」築いてライブを
していた写真ばかり見ることが出来ますが、特にFREE AT LASTツアー時などはアンディも200Wのマーシャルアンプをフルドライブ状態で、フィードバックまでさせて弾き倒している状態。凶暴かつ獰猛なサウンドで、異常なほどの緊迫感を孕んだ轟音ヘヴィロックバンドのFREEが見えてきます。

TONS OF SOBSでは、「FREE=渋い」というステレオタイプな認識を払拭し、こういう「もう一つの真の姿」を知っていただこうと思っています。え?もう充分暴力だ?・・こりゃ失礼!!
潔い解散